長きにわたってデフレスパイラルにあった我が国日本も、「ようやく」というか「ついに」というか、「無理矢理に(世界情勢の流れで)」というべきか、とにかく数十年ぶりにインフレ社会に突入しようとしていますね。
このような環境で「貯蓄から投資へ」というスローガンのもと、政府が推し進めている政策をみると、「政府も、老後の生活のすべてを面倒見ることはできないので、それぞれ資産防衛してね!」というメッセージとも受け取れます。そんな折に出てきたこのニュース、ちょっと思うところをつづらせてもらいます。
そもそも設問がおかしくないかい?
出典:URL https://news.yahoo.co.jp/articles/659090c3a691e59760937a59f42aad8b959ae19b
この記事を読んだ感想は、「突っ込み待ちかいな!?」。(記事より抜粋→世論調査で「今後、貯蓄を投資に回そうと考えるか」聞いたところ、●投資に回そうと思う23% ●投資に回そうと思わない40% ●投資に回す貯蓄がない34%)
ひとことに「貯蓄」といっても、「銀行への預貯金」のほかに、「株式」や「債権(国債など)」の保有、また積立型保険(これも運用は投資)などもいわゆる「貯蓄」です。この記事はどうも貯蓄=預貯金で、投資は貯蓄じゃないと思ってるんじゃないですかね!
なので、そもそも聞きたいことの趣旨としては「貯蓄の手法として投資を考えていますか?」ってことなのだと思うのです。
現預金だけでは厳しい時代がすぐそこに
ただし、言葉の定義は置くとしても、実に全体の74%の回答が、何らかの理由で「投資はしない」と考えているのは事実です。
見出しにもあるように、以下に挙げる理由から、これからの時代は現預貯金だけではどんどん財産は目減りしてゆく厳しい時代に入ってくると考えています。
- 超低金利(銀行にお金を預けていても年間0.1%も利息が付かない)
- 急速な円安(日米の金利差などにより、今後急速に円高にもどるとは考えにくい)
- 物価の急激な上昇(資源高や円安による)
詳細の説明は飛ばしますが(金融の基礎知識がある皆さんであれば常識的な事だと思います)、日本は90年代から30年近くにわたって物価も給料もほぼ上昇しなかったので、自分も含め多くの国民が「デフレぼけ」していると思うのです。今までであれば、銀行に預貯金していても、大した利息は付かないものの、お金が目減りするという感覚は無かったのではないかと思います。
ところが、この急激な環境の変化で、モノの値段がみるみる上がっており、すでに「お金(日本円)」の価値はどんどん目減りしてゆく時代に突入していて、「現預金だけ」の人と、「現預金+投資」を行っている人では、貧富の差は広がってゆく世界になると思うのです。
危険地帯→「投資に回す貯蓄ない」34%
そして、この記事で何より危ないと考えるのは、見出しにもある「投資にまわす貯蓄がない34%」のカテゴリーにいる人たちです。おそらく、この回答の趣旨としては
「日々の生活に手いっぱいで貯蓄などしている余裕がない」
といったことだと思います。ただ、その考えや価値観ではいつまでたっても蓄財はかなわないと考えるのです。
例えば今の時代、無料で簡単に「ネット証券口座」を作ることが出来、この「証券口座」さえ作ってしまえば、100円から投資信託を購入することが出来るのです。この投資信託には、日経225社を丸ごと買えるものや、全米の上場企業を丸ごと買えるもの、はたまた全世界の優良株を丸ごと買えるものまで多岐にわたります。
仮に、毎月1000円を、全世界株式投資信託に積立設定をしておけば、立派に月々1000円投資していることになり、世界中の経済成長の果実を受け取ることが出来ます。
このレベルの投資すらできないというのであれば、住む場所や食費、通信費など一度家計の収支を真剣に見つめなおした方がよろしいと思います。
おわりに
おそらく、「投資をしない」74%の方々は、「こういった情報をただ知らない」だけで、漠然と「投資は危ない、投資はギャンブルだ」といった印象を持たれている層なのではないかと思うのです。いまや、ネットで調べれば簡単に「ネット証券口座の作り方」やおすすめの会社、また投資信託の方法など情報を入手できる時代です。
そして、これからリスクを分散して投資を行うなどの「資産防衛策」を講じなければ、繰り返しになりますが、貧富の格差はどんどん広がってゆく社会になると考えられます。
そこで、「社会がわるい、政治家が悪い」などと愚痴を言ったところで、おそらく自分の置かれた状況は何一つ良くはなりません。それよりも、しっかり情報を集めて、NISAなどの制度を活用し、適切な投資をして資産防衛を図るほうがより建設的ではないのかなーと、この記事を読んで感じました。
それでは皆様、アディオス
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